従来損金算入が認められていなかった役員の賞与について、
あらかじめ支給額、支給時期等を定めていれば原則として損金
算入が認められることとなりました。
ただし、その支給の定めの内容を事前に税務署長に届け出る
必要があります。
「事前届出」は@その役員給与にかかる職務の執行を開始する日
Aその事業年度開始の日から3ヵ月以内のいずれか早い日(届出
期限)までに一定事項を記載した「事前確定届出給与の届出」を
提出します。
この改正の適用は平成18年4月1日以後開始する事業年度か
らです。
次のような見直しが行われます。
@留保金課税の対象となる同族会社の判定について3株主グループ
による判定から1株主グループによる判定とされます。
A留保控除額を次に挙げる金額のうち最も多い金額とされます。
ア.所得等の金額の40%(従前は35%)
(中小法人〔資本の金額が1億円以下の法人をいう。下記エに
おいて同じ〕にあっては50%)に相当する金額。
イ.年2000万円(従前は1500万年)
ウ.利益積立金額が資本の金額の25%に満たない場合における
その満たない部分の金額に相当する金額。
エ.中小法人において自己資本比率が30%に満たない場合にお
けるその満たない金額。
この改正の適用は平成18年4月1日以後開始する事業年度か
らです。
中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入の特例(資本金1億円
以下の中小企業者等が30万円未満の減価償却資産を取得した場合、
全額損金算入を認める制度)が見直され、適用対象となる損金算入の
上限が年間合計300万円とされました。
この改正の適用は、平成18年4月1日から同20年3月31日ま
での間に取得する減価償却資産です。
交際費等の損金不算入制度について、損金不算入となる交際費の範
囲から1人当たり5000円以下の一定の飲食費を除外(社内の役員、
従業員またはこれらの親族との飲食費は除く)され損金算入できるこ
ととなりました。
要するに、社外の者を接待した場合に適用されるので、会食の人数、
出席者名、肩書きなどを記録しておくとともに、損金算入の交際費で
あることを明記すれば後々処理しやすくなります。
なお5千円は基礎控除的ではなく5千円を超えれば全額が税務上の
交際費になってしまいます。
この改正の適用は平成18年4月1日以後開始する事業年度からです。
実質一人会社のオーナー社長の報酬については、給与所得控除
相当分が法人において損金算入できないこととなりました。
実質一人会社とは、役員および同族関係者等が発行済株式総数
の90%以上を保有し、かつ常勤の役員が過半数を占める会社を
指します。
ただし、次のような場合は、従来どおり損金算入ができます。
◆その同族会社の所得金額とオーナー社長の報酬の合計額の直前
3年以内の平均額が年800万円以下の場合
◆その平均額が800万円超3000万円以下で、その平均額に
占める社長報酬の割合が50%以下の場合
と、このように、実質一人会社のオーナー社長の報酬は、個人事
業者との課税ベースをイコールにするために、このような措置と
なりました。
要は新会社法により1円企業が多く出来るのに、節税目的で
法人成りをするのを抑制するためであるようです。
この改正の適用は平成18年4月1日以後開始する事業年度か
らです。
平成18年度税制改正法が3月27日参議院本会議で
成立しました。
中小企業に影響のある改正が行われています。